ウェットスーツのサイズ選び:失敗しない採寸方法と測定ポイント
ウェットスーツは、サーフボードの次に重要なサーフィンギアです。その効果はフィット感にかかっています。正確な採寸が、保温性を高め、動きやすさを確保し、サーフィンの楽しさを最大限に引き出します。
ウェットスーツのサイズ選びが重要な理由

適切にフィットしたウェットスーツで快適なサーフィンを楽しむことができます
暖かさを保つメカニズム
ウェットスーツは、スーツと肌の間に薄い水の層を閉じ込め、それを体温で温めることで保温効果を発揮します。この温められた水の層が断熱材として機能するのです。
スーツが緩すぎると、冷たい水が過剰に出入りして温まった水の層が絶えず入れ替わり、体が急速に冷えてしまいます。特に首、手首、足首は水の浸入が起こりやすい部分です。これらの部分のフィットが甘いと、ウェットスーツの基本的な保温機能が損なわれてしまいます。
ポイント! ウェットスーツのフィット感は、水の浸入を完全に防ぐことではなく、水の出入りをコントロールして温かい水の層を維持することが重要です。特に首・手首・足首の部分は水の浸入を最小限に抑えるために、ぴったりとフィットする必要があります。
自由な動きとパフォーマンス
サーフィンでは、パドリング、ポップアップ、マニューバーなど、ダイナミックな動きが求められます。スーツがきつすぎると、体の動きが制限され、疲労を引き起こし、パフォーマンスを妨げてしまいます。
特に問題となるのは、パドリング時の肩や腕、そして柔軟性が必要な脚や胴体部分です。腕を上げたときに脇の下が突っ張ったり、しゃがんだときに膝や股間が窮屈に感じたりする場合は、サイズが合っていません。
逆に、スーツが緩すぎると、生地がたるんだり、水の抵抗を生み出したりして、動きにくく感じることがあります。理想的なフィット感は、まるで第二の皮膚のように体に密着し、体の自然な可動域を妨げることなく断熱性を提供します。
サイズ選びの失敗が及ぼす影響
フィット感は単なる快適さだけでなく、テクニックにも影響を与えます。動きを制限するスーツは、非効率的なパドリングを強いたり、ポップアップやターンに必要な素早い爆発的な動きを妨げたりする可能性があり、スキルの進歩を遅らせることにもつながります。
窮屈なスーツはパドリングを困難にし、ポップアップを制限するため、サーファーはそれを補おうとして、結果的に悪い癖がついたり、過度の疲労を経験したりします。したがって、フィットが悪いことは、即時の不快感を超えて波及効果をもたらし、長期的なサーフィンの発達に影響を与える可能性があるのです。
もっと詳しく知りたい方へ: ウェットスーツの基礎知識から選び方まで包括的に解説したサーフィン ウェットスーツ完全ガイドもご覧ください。
正確な採寸のための準備
適切な服装と状態
採寸は、水着や体にぴったりフィットする下着など、最小限の衣服を着用した状態で行う必要があります。厚手の服の上から測定すると、不正確なかさばりが加わるため避けるべきです。
目標は、ウェットスーツが肌にぴったりとフィットする必要があるため、体の真の寸法を測定することです。衣服は人為的なボリュームを追加してしまい、正確な測定の妨げになります。
ポイント! 測定前にはトイレを済ませ、水分補給をしておきましょう。長時間の測定になることがあり、測定中は自然な姿勢を保つことが重要です。
必要な道具の準備
採寸には適切な道具が必要です。以下の準備をしておきましょう。
- メジャー:柔軟性のある柔らかいメジャー(裁縫用メジャー)が不可欠です。金属製のコンベックスや伸縮性のあるメジャーは使用しないでください。
- 補助具:定規、ものさし、あるいは本などが、特定のポイントを正確にマークしたり、股下などの測定で水平を確保するのに役立ちます。
- 記録用具:ペンと紙、または専用の採寸フォーム(多くのブランドがオンラインで提供しています)。
- マーカー(推奨):測定前に解剖学的ランドマーク(首の付け根の骨、肩の骨の先端など)をマークするために、ドットシールやマスキングテープを使用すると、一貫性が向上します。
注意! 不適切な種類のメジャー(金属製、伸縮性のあるものなど)を使用することは、一般的なエラーの原因です。特に高価なカスタムスーツの場合、精度のためには、適切な柔軟なメジャーに少額を投資することが不可欠です。
正しい姿勢のとり方
測定中は、自然にリラックスして立ち、良い姿勢(背筋を伸ばし、肩の力を抜く)を保ちます。猫背になったり、不自然に胸を張ったりしないようにしましょう。
特に胸囲や胴囲の測定では、自然に呼吸するか、自然に息を吐ききった状態で測定します。息を止めたり、お腹をへこませたりしないでください。測定値は、リラックスした状態での典型的な体型と姿勢を反映する必要があります。
ポイント! 不自然な姿勢(例えば、過度に硬直したり、お腹をへこませたり)で測定すると、その姿勢でしかフィットしないスーツが出来上がってしまいます。通常のサーフィン時の姿勢に戻ると、スーツは特定の箇所で緩すぎたり、きつすぎたりします。
主要な測定箇所とその測定方法

ウェットスーツは体にぴったりとフィットするのが理想的です
基本的な身体測定(身長・体重)
まず最も基本的な測定として、身長と体重を正確に計測します。これらの数値は、ウェットスーツのサイズ選びの基準となる重要な情報です。特に既製品を選ぶ際には、これらの数値がサイズチャートの主要な指標となります。
身長は、壁に背を向けて立ち、かかとを壁につけた状態で測定します。体重は、なるべく同じ時間帯(朝など)に測定し、一貫性を保つようにしましょう。
ポイント! 身長と体重だけでは個人の体型の違いを反映できません。特にオーダーメイドの場合は、詳細な部位ごとの測定が必要です。既製品選びでも、主要な周径(胸囲、腹囲、ヒップなど)は確認しておくと安心です。
上半身の測定ポイント
上半身の測定は、ウェットスーツの上半身のフィット感を決定する重要な要素です。以下のポイントを測定しましょう。
- 首回り:のど仏の下の最も細い部分を水平に測ります。水の浸入を防ぐ重要箇所です。
- 肩幅:背中側で、左右の肩先点(肩の骨の先端)間をA点(首の後ろの骨)を通して測ります。
- 胸囲:腕を下ろした状態で乳頭(バストトップ)を通る周りを水平に測ります。リラックスした自然体で測定します。
- 腹囲/ウエスト:へその少し上の最も細い部分の周りを水平に測ります。自然な呼吸の状態で測定します。
- 下腹囲:へその下の最も太い(突き出ている)部分の周りを水平に測ります。
- 背丈:首の後ろの骨(A点)から尾てい骨まで測ります。
これらの測定では、メジャーを水平に保ち、締め付けすぎず、たるみもなく、肉に食い込まないようにすることが重要です。特に周径を測る場合は、メジャーが体の周り全体で平らに接していることを確認してください。
下半身の測定ポイント
下半身の測定も同様に重要です。以下のポイントを測定しましょう。
- 尻囲/ヒップ:尻部の最も太い部分の周りを水平に測ります。
- 大腿最大囲:太もも付け根の最も太い部分の周りを水平に測ります。脚は肩幅程度に開きます。
- 膝上囲:膝の皿のすぐ上の周りを水平に測ります。
- フクラハギ囲:フクラハギの最も太い部分の周りを水平に測ります。
- 足首囲:内くるぶしのすぐ上の最も細い部分の周りを水平に測ります。水の浸入を防ぐ重要箇所です。
- 股下:股付け根点から内くるぶし中心までの長さを測ります。脚は肩幅程度に開き、メジャーを脚に沿わせずまっすぐ測定します。
股下の測定では、本や定規などを股に水平に当て、正確な測定の開始点を確保することをおすすめします。また、膝や足首のような関節部分では、正確な位置を把握することが重要です。
注意! 股下の測定は一人で行うのが難しい部位です。可能であれば、誰かに手伝ってもらうか、鏡を使って確認しながら測定することをおすすめします。
腕と手首の測定
腕の測定は、特にパドリングの快適さに直結する重要な要素です。以下のポイントを測定しましょう。
- 裄丈:腕を45°に開いた状態で、首の後ろの骨(A点)から肩先点を通って手首点までの長さを測ります。
- 袖丈:腕を45°に開いた状態で、肩先点から手首点までの長さを測ります。
- 腕付根囲:腕を45°に開いた状態で、脇の下から肩先点を通る周りを垂直に測ります。
- 大腕囲:腕を45°に開いた状態で、上腕二頭筋(力こぶ)の最も太い部分の周りを測ります。力を入れずに測定します。
- 手首囲:手首のくるぶしを避けた最も細い部分の周りを水平に測ります。水の浸入を防ぐ重要箇所です。

手首など末端部分のフィット感は水の浸入を防ぐために重要です
ポイント! 腕の測定では、特に45°の角度が重要です。この角度はパドリング時の姿勢に近く、この位置で測定することで、実際のサーフィン中の動作に最適なフィット感が得られます。角度が異なると、袖が短すぎたり長すぎたりする原因になります。
各測定箇所は、ブランドによって若干の違いがあることがあります。オーダーメイドの場合は、ブランドの指示に従って測定することが重要です。迷った場合は、ブランドのカスタマーサービスに相談するか、専門のショップでアドバイスを受けることをおすすめします。
詳しい採寸法について: ウェットスーツの種類や特徴についてもっと知りたい方は、ウェットスーツの種類と特徴:フルスーツ、スプリング、ロングジョンの違いを徹底解説の記事もご覧ください。
女性のためのウェットスーツ採寸ポイント

女性の体型に合わせたウェットスーツは快適なサーフィン体験につながります
女性特有の測定箇所
女性のウェットスーツ選びでは、男性とは異なる体型の特徴を考慮した測定が必要です。以下の女性特有の測定箇所に注意しましょう。
- アンダーバスト:バストのすぐ下の胴回りを水平に測ります。
- トップバスト:バストの最も突出した部分の周りを水平に測ります。自然な状態で測定します。
- 乳下がり:乳頭から垂直に肩の上部までの距離を測ります。
- 乳頭間:左右の乳頭間の長さを水平に測ります。
これらの測定は、特にバスト部分のフィット感を決定する重要な要素です。男性用のウェットスーツと異なり、女性用のウェットスーツはバスト部分に余裕を持たせたデザインになっているため、正確な測定が快適さにつながります。
体型に合わせたサイズ選び
女性の体型は男性よりも多様であり、ウエストやヒップの比率も個人差が大きいことが特徴です。多くのブランドは女性特有の体型を考慮したレディースラインを提供していますが、以下のポイントに注意することで、より適切なサイズ選びができます。
- ヒップとウエストの比率:女性は一般的にウエストが細く、ヒップが広い傾向があります。既製品を選ぶ際は、ヒップサイズに合わせつつ、ウエスト部分がきつすぎないかを確認しましょう。
- バストサイズ:バストが大きい場合、通常のサイズチャートよりもワンサイズ上を選ぶと、胸部の圧迫感を軽減できます。
- 身長と体重のバランス:同じ身長でも体重が異なると、必要なサイズも変わります。身長と体重の両方に合うサイズを探しましょう。
注意! 女性用ウェットスーツは、男性用に比べてヒップやバスト部分に余裕があるデザインですが、ブランドによって設計思想が異なります。可能であれば試着するか、詳細なサイズチャートを確認することをおすすめします。
レディースウェットスーツの特徴
女性向けのウェットスーツは、女性の体型に合わせた特有の設計がされています。主な特徴は以下の通りです。
- シルエット:女性らしいくびれを強調し、フィットするよう設計されています。
- 胸部:バスト部分にダーツやパネルを配置し、適切なフィット感と動きやすさを提供します。
- 裁断:肩幅が狭く、ヒップが広めの設計で、女性の体型に合わせた裁断がされています。
- ファスナー:一部のモデルでは、着脱しやすいよう背面や胸部にファスナーが配置されています。
- デザイン:カラーやパターンが豊富で、女性向けのスタイリッシュなデザインが特徴です。
レディースウェットスーツは、単に小さいサイズのメンズモデルではなく、女性の体型と動きを考慮して設計されています。特にバスト、ウエスト、ヒップの比率が重要視され、パドリングやライディング時の快適さを追求しています。
ポイント! 女性サーファーにとって、「女性用」と明記されたウェットスーツを選ぶことが重要です。メンズモデルだと、肩幅が広すぎてパドリング時に不快感を感じたり、ヒップ部分がきつすぎたりする可能性があります。
女性向けの詳しい情報: 季節に合わせたウェットスーツの選び方については、サーフィン ウェットスーツの季節別選び方完全ガイドの記事もご覧ください。
採寸時によくある間違いと回避策

サイズが合わないウェットスーツは快適なサーフィンの妨げになります
メジャーの当て方と張り具合
ウェットスーツの採寸において、メジャーの使い方は精度に大きく影響します。以下のよくある間違いと回避策を知っておきましょう。
- 間違い:メジャーがたるんでいる、または強く締めすぎている。
- 回避策:メジャーは体に沿わせ、強めに密着させた後に少しゆるめる感覚で測定します。肉に食い込まず、かつ隙間もない状態が理想です。
- 間違い:メジャーが水平/垂直でなく斜めになっている。
- 回避策:周径(胸囲、腹囲など)は水平に、長さ(総丈、股下など)は垂直に保ちます。測定中は鏡で確認するか、補助者に見てもらうと良いでしょう。
- 間違い:不適切なメジャーを使用している(金属製、伸縮性のあるものなど)。
- 回避策:柔軟性があり伸びにくい布製メジャー(裁縫用)を使用します。特に高価なカスタムオーダーの場合は、精度の高いメジャーへの投資が重要です。
ポイント! 各測定箇所を少なくとも2回測定し、一貫した結果を得ることが重要です。測定値が大きく異なる場合は、3回目の測定を行い、最も一般的な値を採用しましょう。
姿勢による誤差
採寸時の姿勢は測定値に大きく影響します。以下の問題と対策を理解しておきましょう。
- 問題:不自然な姿勢(猫背、胸を張る、お腹をへこます)で測定する。
- 対策:自然でリラックスした姿勢を保ち、普段のサーフィン時の姿勢に近い状態で測定します。背筋を自然に伸ばし、肩の力を抜いた状態が理想的です。
- 問題:腕や脚の角度が指定と異なる(特に腕の45°の角度が重要)。
- 対策:裄丈や袖丈などの測定では、指定された角度(多くの場合45°)を正確に保ちます。この角度はパドリング時の姿勢に合わせて設計されており、角度が異なると袖長などに影響します。
- 問題:測定中に姿勢が変わる、または安定しない。
- 対策:壁を背にしたり、鏡の前で測定したりして、姿勢の安定を確保します。長時間の測定で疲れないよう、適宜休憩を入れることも大切です。
姿勢による誤差は、特にカスタムオーダーの場合に重大な影響を与えます。不自然な姿勢で測定すると、その姿勢でしかフィットしないスーツになってしまい、実際のサーフィン中に不快感を感じる原因となります。
採寸の一貫性を保つコツ
正確な採寸のためには、一貫性のある測定が不可欠です。以下のコツを実践しましょう。
- 測定のマーキング:重要な解剖学的ランドマーク(首の後ろの骨、肩先点など)にマスキングテープやシールでマークしておくと、測定の一貫性が向上します。
- 計算チェック:互いに関連する測定値の整合性を確認します。例えば、(肩幅 ÷ 2) + 袖丈 ≒ 裄丈 などの関係性を確認することで、明らかな誤りを発見できます。
- アベレージング:複数回の測定の平均値を取ることで、より正確な値が得られます。特に難しい箇所(股下、裄丈など)では有効です。
- 同条件での測定:同じ時間帯、同じ条件(食後・食前など)で測定することで、体調による変動を最小限に抑えられます。
- 古い測定値に頼らない:体型は変化するため、新しいウェットスーツを注文する際は、必ず新たに測定を行いましょう。
ポイント! 特に重要なのは首、手首、足首の周径です。これらは水の浸入を防ぐシール部分であり、適切なフィット感が保温性に直結します。これらの箇所は特に注意して正確に測定しましょう。
メンテナンス情報: ウェットスーツを長く使うためのメンテナンス方法については、ウェットスーツのメンテナンス完全ガイドの記事も参考になります。
自分で採寸するか専門家に依頼するか

専門家のアドバイスを受けることで、より適切なサイズ選びが可能になります
それぞれのメリット・デメリット
ウェットスーツの採寸方法として、自己採寸と専門家による採寸の2つの選択肢があります。それぞれのメリットとデメリットを理解し、状況に応じた選択をしましょう。
自己採寸のメリット
- 利便性:自分の都合の良い時間に自宅で測定できます。
- 費用:無料で行えます。
- 遠隔地からの購入:専門店が近くになくても対応可能です。
- プライバシー:人に見られることなく測定できます。
自己採寸のデメリット
- 精度の低さ:自分で測りにくい箇所があり、誤差が生じやすいです。
- 姿勢の維持が難しい:測定中に姿勢が崩れやすく、一貫性が保ちにくいです。
- 技術的な理解の欠如:適切なメジャーの当て方や張り具合の感覚がわかりにくいです。
- 責任:測定ミスによる不適切なフィットの責任は自己負担となります。
専門家による採寸のメリット
- 高い精度:経験と知識に基づいた正確な測定が期待できます。
- 適切な道具:専用の測定ツールや治具を使用します。
- 姿勢の修正:測定中の姿勢を専門家が確認・修正します。
- アドバイス:体型や目的に合ったモデル選びのアドバイスが得られます。
- 試着の可能性:その場でサンプルモデルの試着ができる場合があります。
専門家による採寸のデメリット
- 時間の制約:ショップの営業時間内に訪問する必要があります。
- 地理的制約:専門店が近くにない場合、アクセスが難しいです。
- 潜在的な費用:一部のショップでは採寸サービスに料金がかかる場合があります。
- 感染症リスク:パンデミック時など、対面での測定に抵抗がある場合があります。
ポイント! カスタムオーダーなど高価なウェットスーツを購入する場合は、可能な限り専門家による採寸を選ぶことをおすすめします。既製品の場合でも、試着が理想的ですが、自己採寸でもサイズチャートを慎重に参照することで適切なサイズを選べる可能性があります。
自己採寸のためのサポートツール
自己採寸を選ぶ場合、以下のサポートツールを活用することで、より正確な測定が可能になります。
- 採寸キット:一部のブランドは専用の採寸キットを提供しています。これには通常、メジャー、説明書、比較用の平均値表などが含まれています。
- ビデオガイド:多くのブランドや小売店がオンラインで採寸方法のビデオガイドを提供しています。視覚的な手順を確認することで、より正確な測定が可能です。
- オンラインサポート:一部のブランドは、ビデオ通話での採寸サポートや、写真送付による確認サービスを提供しています。
- スマートフォンアプリ:体型をスキャンして採寸する専用アプリも登場しています。ただし、精度は従来の採寸法に比べて劣る場合があります。
- 採寸フォーム:ブランドの公式サイトで提供される詳細な採寸指示と記入フォームを活用しましょう。
これらのツールを活用しても、難しい測定箇所(背中、股下など)があれば、信頼できる人に手伝ってもらうことをおすすめします。一人で全ての箇所を正確に測ることは難しい場合があります。
ショップでの採寸サービスについて
多くのサーフショップやウェットスーツ専門店では、採寸サービスを提供しています。このサービスを利用する際の情報と注意点は以下の通りです。
- 予約の必要性:混雑を避け、十分な時間を確保するため、事前に予約することをおすすめします。
- 費用:多くの場合、その店舗で購入することを前提に無料で採寸してくれますが、店舗によっては有料の場合もあります。事前に確認しましょう。
- 必要なもの:水着または体にフィットする薄手の下着を持参しましょう。また、現在使用しているウェットスーツがあれば、参考のために持って行くと良いでしょう。
- 時間:丁寧な採寸には30分〜1時間程度かかることがあります。十分な時間を確保しておきましょう。
- アドバイス:採寸だけでなく、あなたのサーフスタイルや使用環境に合ったモデル選びのアドバイスも求めましょう。
注意! 専門家による採寸でも、測定者によって若干の違いが生じることがあります。可能であれば、ウェットスーツの製造経験や専門知識を持つスタッフに測定してもらうことをおすすめします。
着脱方法について: ウェットスーツの正しい着方や脱ぎ方については、初めてのウェットスーツ:着方・脱ぎ方と基本的な使い方の記事で詳しく解説しています。
ウェットスーツサイズチャートの読み方
ブランドによる違いを理解する
ウェットスーツのサイズは、ブランドによって大きく異なります。各ブランドは独自のサイズチャートとフィットモデルを使用しているため、あるブランドのMサイズが、別のブランドのMサイズとはまったく異なるフィット感になる可能性があります。
サイズチャートには通常、各サイズ指定に対応する主要な寸法(身長、体重、胸囲、腹囲、尻囲など)が記載されています。多少の変動(身長±3cm、体重±3kgなど)は許容範囲として記載されていることがよくあります。
チャートの使い方としては、自身の正確な測定値を、ブランド固有のチャートと比較します。まず身長と体重を合わせ、次に主要な周径(胸囲、腹囲、尻囲)を優先するとよいでしょう。
一般的な課題として、サイズの中間に該当したり、一部の寸法は一致するが他の寸法が一致しなかったりすることがあります。これは一般的であり、平均的な体型から外れる場合に既製サイズの限界を示しています。
ポイント! サイズチャートを見る際は、特定のモデル/年の最新のチャートを探すようにしましょう。また、チャートが体の寸法(ヌード寸法)と衣服の寸法(出来上がり寸法)のどちらを記載しているかに注意することも重要です。
既製品選びのポイント
既製品のウェットスーツを選ぶ際は、以下のポイントに注意すると適切なサイズ選びができます。
- 優先すべき測定箇所:一般的に、身長と体重が最も基本的な指標ですが、体型によっては胸囲、腹囲、ヒップなどの周径も重要になります。
- 複数の指標の一致:可能な限り、多くの測定値がサイズチャートと一致するサイズを選びましょう。
- 体型の考慮:標準的な体型から外れる場合(例:筋肉質、細身、胸囲が大きいなど)、その部分に合わせたサイズ選びが必要です。
- 用途による調整:冬用の厚手モデルは、夏用の薄手モデルよりもきつく感じることがあります。用途に応じたサイズ調整を検討しましょう。
- ブランド特性の理解:一部のブランドは「タイトフィット」、他は「リラックスフィット」を基準にしています。ブランドの特性を理解することが重要です。
迷った場合は、サイズの境界にいる場合、上のサイズを選ぶことが多いですが、これはウェットスーツの種類や個人の好みによっても変わります。可能であれば、購入前に試着することをおすすめします。
注意! ウェットスーツは通常、少し窮屈に感じるくらいがちょうど良いサイズです。特に新品は使用するうちに若干伸びる傾向があります。しかし、呼吸が苦しいほどきつい場合は、明らかにサイズが小さすぎます。
フルオーダーとセミオーダーの選択
既製品で適切なサイズが見つからない場合や、より完璧なフィット感を求める場合は、カスタムオーダーを検討する価値があります。カスタムオーダーには、以下の2つの主要なオプションがあります。
フルカスタム(フルオーダー)
- 特徴:詳細な測定値(多くの場合20〜30箇所以上)に基づき、完全にオーダーメイドで製作されます。
- メリット:あなたの体に完璧にフィットし、最高の保温性と動きやすさを実現します。
- デメリット:コストが高く、製作に時間がかかります。測定の精度が非常に重要であり、エラーが高価な修正や使用不可能なスーツにつながる可能性があります。
- おすすめの人:既製品で合うサイズが見つからない人、プロやヘビーユーザー、特殊な体型や特定の要件がある人。
セミカスタム(セミオーダー)
- 特徴:標準的なベースサイズに対して、主要な寸法(例:胸囲、腹囲、尻囲、背丈、袖丈)の調整が可能です。
- メリット:フルカスタムよりも手頃な価格で、既製品よりも良いフィット感が得られます。製作時間も比較的短いです。
- デメリット:フルカスタムほどの完璧なフィットは期待できません。調整可能な箇所が限られています。
- おすすめの人:既製品で一部の箇所だけ合わない人、コストパフォーマンスを重視する人、中級者レベルのサーファー。
カスタムオーダーを選ぶ場合、特に専門家による採寸が重要になります。フルカスタムでは、正確な測定が製品の価値を左右します。測定エラーはそのまま不適切なフィット感につながり、高価な投資が無駄になる可能性があります。
ポイント! カスタムオーダーでは、単にサイズだけでなく、素材、厚さ、デザイン、特殊機能(膝パッド、胸部補強など)も選択できることが多いです。自分のサーフスタイルや使用環境に合わせた仕様を検討しましょう。
まとめ
正確な採寸はウェットスーツの快適さとパフォーマンスの鍵です。この記事で紹介した測定方法と注意点を実践し、あなたの体型に合った最適なウェットスーツを見つけてください。既製品かカスタムオーダーかを問わず、適切なフィット感は、水中での暖かさと動きやすさを確保し、サーフィンの楽しさを最大限に引き出します。
詳しい情報や具体的な相談は、専門のサーフショップやウェットスーツブランドのカスタマーサービスを利用することをおすすめします。彼らの経験と専門知識があなたの最適なサイズ選びをサポートしてくれるでしょう。
監修者

ヒガシーサー
サーフィン歴20年、オンラインサーフィンスクール「Corrective Surf'n' Fitness」のアンバサダーを務め、誰でも簡単にサーフィン上達ができるハウツーを紹介。SNS総フォロワーは65,000人以上。